Arcade Fire
Barrowland,Glasgow
11/03/2007



アーケードファイアーのデビュー・アルバム「Funeral」がリリースされたのは2005年2月だった。
其の当時はまだこのカナダはモントリオールからの新鋭バンドの存在すら知らなかった。
だがあるとき、アバディーンのCDショップを経営している友達のFredが「これを聞いてごらん!とにかくまぁ聞いてごらん」と強く勧められたのがきっかけだった。
全曲を聴き終えたとき・・・「何じゃ?これ?」が正直な印象だった。
しかし、今までに味わったことのないサウンドが一杯詰まっていた。
何よりも一番取り付かれたトラックはRebellionだ。
音楽の質の高い時代の先端の鼻が利くBBCが真っ先に取り上げた。
BBCのスポーツ番組のBGMに採用されたのだ。
たぶんUKに住んでいる人々はアーケード・ファイアーの其の名を知らずともこのRebellionは幾度となく耳にこびりついていたはずである。
hiroko。はまずこのトラックに惚れこんでしまったのだ。
それからというもの、アーケード・ファイアーはUK中をセンセーショナルな勢いで浸透し尽くし、Davidボウイを筆頭にUKの主だったミュージシャン達の絶賛を浴びることになった。
2007年と2年が過ぎてもこのFuneralというアルバムは何度と繰り返して聞いているアルバムの1つになってしまった。
「お葬式」というその尊厳あるそしてある意味では重たく悲しいテーマを歌っているにもかかわらず、その繰り広げられるサウンドは祝歌で軽くてテンポがある。
そおしてその神秘的な叙情詩に重なり合う感性豊かな哲学的ともいえる鋭い指摘。
Rebellionはそおした反乱の数々を暴き、プロテストの若者を先導しているように思えてくる。
Everytime You Close yourEyes、Lies Lies!!!!
目を閉じると心臓の鼓動のようで、そしてプロテスターたちの行進曲にも聞こえてくる。
楽器もさまざまな楽器を破裂させんばかりに、全く今までにない奥の深いレベルの高いバンドである。
これこそ、神が人間に与えられた祝歌ではないか・
人間は誰しも死んでいく・・・だが「死」は決して怖くないものだ。
むしろ喜ぶべき祝歌ではないか・・・・
目を閉じてよぉーく考えよう・・

http://www.youtube.com/watch?v=NNfWC4Sgkcs

さて、
2007年3月・・・そんなものすごく高度なアルバムを、デビュー盤で発表してしまったアーケード・ファイアー。
次にどんなものが創作できるのか?
あんなアルバムの後ではかなり困難なことだろう。

世界中の雑誌やメディアの音楽評論家たちがてぐすねひいて、思いっきりコケ下ろすのを楽しみに待っているはずである。
そんな期待の中でようやくリリースされた第二弾の「Neon Bible」
やはり第一印象は「あれ?」
Funeralで味わった高揚感がイマイチ欠けるのでは?といぶかった。
しかし・・・やはり今回もスルメイカだ。
聞けば聞くたびに、歌詞を理解し物語を組み立てていくにつれて,完璧に虜になっている。
まだまだ聞き込まねばいけない。
今回は前作の「Funeral」よりも一段と深くなっている。
一段とダークでDeepな叙情詩だ。
Black Mirrorの神秘的でつかみ所のない暗さを表現しながら、最後に再び円を描くように戻っているストーリーラインだ。

前作の「Funeral」を十二分にフォロー・アップする「ネオン・バイブル」しっかりと繋がっているではないか!
Intervationでは実に抽象的な歌詞でその暗さを、サウンド面でパイプオルガンの重厚な厚みと豪華華麗なメロディーがかぶさる。
際立ったトラックだ。教会の中にたたずみ、遥か遠い歴史を感じながら、ソルジャーたちのうめき声を感じようではないか!
それと同格以上にトラック10のNo Cars Goが極め付けで素晴らしい。

http://www.youtube.com/watch?v=cJRSG95-WEU

アーケード・ファイアーのアーケドファイアーらしいサウンドだ。
最後のMy Body is a Cage・・・不気味な歌詞と絶え絶えの弱弱しいヴォーカル・・・これが円を描いて最後にブラックミラーになるというしくみなんだろうか?
何でもこの「Neon Bible」は映画でピューリッツア賞を受賞したジョン・ケネディー・トゥールの小説からインスピレーションを得たと言われている。
30年代のアメリカを舞台に女性シンガーの半生を美しく描いた作品らしいのだが、hiroko。はまだ見たことがない。
これは見なくてはいけないぞぉー。
ここにまた名盤が1つ加わった喜びに溢れながらまた Funeralに戻って、Rebellionを聞こう・・・・・・

本当に芸術だなぁ。


大道の旅芸人のごとくそのメンバーも何人になるかも知れない大所帯の演奏集団。
そんなバンドがやってくる!グラスゴーに!
噂で幾度なく「アメイジング」の嵐を耳にしていたhiroko。にとってはライヴが見たくて見たくて仕方がなかったが、ようやくそのチャンスを得たのである。
特にこのUKで一段と高い評価をうけているバンドであるからして、チケット入手は困難だろうと覚悟していたが、するりと獲得できて、驚いていた。
GrasgowのBarrowland・・・あまり好きな会場ではないのだが・・・この際文句は言ってはおられぬのだ。
丁度春にかけての衣料なんかも仕入れたいし、バラス・マーケットのフリマも覗きたい。
これはお泊りコースだわサ!とクリス君と相談。
すぐさまアコモデーションをゲットして、当日を待ちわびていた。

3月11日、日曜日。
朝から小雨が降っている。
真冬に戻ったかのような寒さの中、超満員のメガバス。
あれれ?ああ!そうか!今日はグラスゴー・ダービーでセルティックとレンジャーズのゲームでないかいな!
こりゃぁえらいこっちゃ!
このBarrowlandは緑のセルティック地区側である。
バラス・マーケットがあるので、よく行くところだが、フットボールのゲーム、特にセルティック・パークでのホームゲームのときはどんな具合になるのか知らない。
ゲームがないときでもセルティックのファンたちでごった返す、ちょいと危ない地域でもある。
このセンスのかけらもないド派手な会場、Barrowlandは大昔のダンス場だったところである。
以前ティーンエイジ・ファンクラブのライヴを見に来たことがあったが、地元のバンドということもあって、そのものすごいノリのよさに閉口してしまった記憶がある。
中は体育館みたいで、音響は決してよくない。むしろ酷いもんだ。
しかし、音楽のメッカ、グラスゴーのまた更なる本拠地とも呼べるライブ会場はこのBarrowlandとキング・タットが挙げられている。
こと音楽に関して超シビアなグラスウィジャン達にウケれば将来は保障されたものとなるというのが定説。
グラスゴーの町を歩くとやたら楽器屋が多いのも特徴の1つだ。
雨が降りしきっていたので、バラス・マーケットを諦め、Plimark(エジンバラにはないのだ!)で衣料品をどっさりと買い込み、ユーローホステルにチェクイン。ホステルではあるが、プライベート・ルームもあるので、トラベル・ロッジが定価だったので、今回初めて利用した。
腹ごしらえを終えて、いざ、Barrowlandへ。
今日の試合はどうやら1ー0でレンジャーズの勝利だったようだが、セルティックの応援かともいうべき地元バンドのFeratellisがどこの店からも流れている。間違ってもこの界隈をブルーのシャツやレンジャーズのトップを着て歩くなんてそんな無謀なことは出来ない。袋にされてボコボコになってクライド川へ・・・(笑)
赤ら顔のすでに出来上がった緑色の大男たちの群れがやけくそでセルティックの応援歌を歌いまくっている。

Barrowlandに到着し、キューに並び、7時開門。
おお!ここでもバッグ・サーチが!
昨年、Nils Lofgrenで失敗を演じて肝に銘じて、エディーさんはクリス君のパンツの中。
hiroko。のポケットのペットボトルを没収されるに留まった。
既に最前列は埋まっていた。
どうしたものか???この連中は思いっきり飛び跳ねるだろう人種なのか?
比較的安全そうな人種のそばにいたほうがいい。
しかしまぁ、よのなかには恐ろしく背の高い連中がいてるもんだ。
どう見てもスコティッシュでないなぁ・・・きっとカナダかアメリカ人学生なんだろうか?異様に背の高いのが5,6人前列中央に陣取っている。
君たちぃー、それほどの図体があるんやから、そんな前にいかなくてもええだろうが!と思えてくる。

待つこと1時間あまり、8時になると、前座のバンド「Patrick Wolf]が登場した。
サイケな化粧にガキのような半ズボンにサスペンダーといういでたち。
人気上昇中の人だ。
POPでサイケ・・・なかなかいい感じ。
バンドには女性フィドラーがいて、この子これまたすんごく悩ましく、腕もすごい!
フィドルをまるで自分の体の一部のように滑らかに奏でている。
素晴らしい!
こいつは帰ったら要チェックだなぁ。


30分の前座が終わり・・・舞台はにぎやかにお取替え。
9時、全ての照明がぱっと消えてとうとう開幕だっ。
オーディエンスは圧倒的に若者と思いきや、結構40代、50代の姿も混じっている。
さすが、音楽性の高い幅の広いバンドだなぁ。などと感心する。
もう場内は熱気ムンムン。果たして最後まで酸素が持つのか???
hiroko。の記憶にある限りではメンバーは一応7名だったのだが、このバンドはいつも何人構成になるやわからないという面白いバンドである。
今夜は一体何人がステージにあがっているのだろう?女性は主格のレジーナとフィドルのサラちゃんの2人だったはずなのだが、
フィドラーが二人いるぞ!片方の女性は知らない。
大きな拍手に迎えられて、オープニングはNew アルバムでひときわ乗っちゃうNo Cars Go!

凄まじき爆音だ。
一斉に観客が飛び跳ねる。
少々の重力攻撃を前後左右と受けはするが、何とかこれなら持ちこたえる範囲ではないか・・・とほっとしながら、飛び跳ねる。
へい!へい!何てノリがいいのだろう!
レジーナちゃんのアコーディオン・・・なかなかかっちょいい。
アコーディオンもええもんやなぁ。
其の大昔hirokio。もアコーディオンを」担当したことがあったが、こうやってROCKでアコーディーオンというのも、シンコペーションでバシッと決めればサマになるなぁ・・・
帰ったらE-bayで中古のアコーディオンでも覗いてみよーかな?などとアホウなことを考える。
彼らのこの楽しそうな演奏・歌・パフォーマンス。
Loudest Indie band on this Planetと誰かが言ってたなぁ・・・・
これほど、「音楽、楽器が好きで好きでたまんない!」という空気がステージから溢れ返り、オーディエンスに浸透する。
こんな楽しそうに演奏するバンドを他に見たことはない。

ステージの両サイドには丸いスクリーン。
所謂これがBlack Mirrorの意味合いなんだなぁ。
スクリーンにはステージ上の演奏を白黒で映し出したかと思うと、サイケな映像になったり、真っ白になったり、オーディエンスそれぞれが持ちあわせる、自分自身の心を映し出す鏡といった意味合いか・・・・
全く賢い連中だ!

爆音が轟き、大音響ではあるのに、どうしてこう心地よいのだろうか?
それは全てがタイトでまとまっているが故の魔法である。
このバンドもカイザーチーフと同様にボリュームを気にしながら家でCDを聞いているバンドではなく、100%のライヴ・パフォーマンスのバンドだ。
ステージの全員が既に汗一杯。
このような熱演を目の当たりにしたのはいつが最後だろうか?
主格のWil君はじめ、メンバー全員が音楽商業にはあまり無関心で、彼らのライブチケットの一部がチャリティーに回っているという。
こんな若いバンドなのに、そこいらのおこちゃまバンドとは違って、本当にただものではない。

時間はあっという間に過ぎていく。
しばらくスローなナンバーで落ち着いたかと思いきや・・・・でたぁーーーーー!Neighborhood #3 (Power Out)

有り余ったエネルギーを今夜で全て放出するかのように、再びジャンピング重力攻撃だっ。
ん?だが、今度のは力の入り具合が強烈だ。
まずは後から将棋倒しになるかのようなプッシング。お次は右へ・・・お次は左・・・・前後左右・・・・こけるぞぉー!
踏ん張りながらも、一緒にジャンプしていなければ危険である。
クリス君の襟元に設置されていた小型マイクロフォンは無残にちぎれた。
地下鉄御堂筋線のラッシュアワー・・・それだけならいいのだが、これが前後左右に押し競饅頭をしながら飛び跳ねているという感覚だ。
ああ・・・エアロスミスの二の舞だっ。
10年ほど前にやはりグラスゴーでこのとびはね押し競饅頭を経験したことがあった。
マジで「死ぬか」と思った。そのときの恐怖が蘇る。
めがねが飛べばもう拾うことは不可能だ。
などと思っている矢先、頭と首に異様な圧力が加わった。
げっ!ダイビングや!「ぎゃぁーーーーーーーだずげでぇーーーーーー!」
クリスと二人顔を見合わせ、「避難」!「逃亡!」「エスケイプ!」もう無理!ここには無理!
何とかこの押し競饅頭の真っ只中をするりするりと・・・・後方へじりじりと後退劇。
よほどhiroko。が悲惨な顔をしていたのか、誰もがこの後退劇に手を貸してくれて、hiroko。はこの台風の中から無事に救出されて、後方へ引き下がることに成功した。
「おばはんには無理がある」つくづくそう思った。
後方は後方でカナビスの匂いが異様に鼻についたが、まぁ、ここでは前方のような危険は感じない。

大好きなトラックRebellion (Lies)
Lie!Lie!!
またまた前方では人間が降っている。
しかしあれほどの重圧が前方にかかっているということはこの後方に仕掛け人がいるわけである。
案の定、後方にはこういう仕掛け人が、構わずに倒れこむようにして前の人間にのしかかっていく。
アブネェーよなぁ。でもこいう人たちは殆どがラリって酔っ払っているわけだ。
しかし、このノリはまさに壮絶。
きっとアーケードファイアーのメンバー自身も感じているに違いない。
やっぱりここはグラスゴーなのであるから・・・・
少し後方へ離れて前方を見るといかに其ののりが凄まじいかがよく見える。
よくもまぁ、ええ歳こいてあんな中に身をゆだねていたかと思うと滑稽に思えてきたりもする。

アンコール・・・メンバーたちをステージに再び誘い込む、足踏みの恐ろしさ。
まるで地響きを立てて地震が襲ってくるような、会場の床が抜けそうな勢いだ。

You Guys!F××in Awesome!! F××in Amazing!!!
口々に咆哮が行き交う中、アンコールのWake UP。
ここはフットボールのスタジアムかい?と錯覚を覚えるほどの大合唱に包まれ、幕は静かに閉じていった。

足はヨレヨレ・・・髪はバサバサ・・・全身打撲のムチウチ???(ちょいとオーバー?)
とにかく、Exhaustedの一言だ。
しかし、アキシデントはありながらも、めちゃくそ楽しめた。
笑いが溢れかえるほど、楽しんだライブも久々だなぁ。
また7月にT−in the Parkの野外で彼らを見ることが出来る。
今度は前方なんぞには間違ってもはまりこまないようにしよう。

翌日、ヴァージン・レコードに立ち寄ると、アーケードファイアーのNeon Bibleがチャートで1位になっていた。


SET LIST

1. No Cars Go
2. Haiti
3. Black Mirror
4. Keep the Car Running
5. (Antichrist Television Blues)
6. Poupee de cire
7. Black Wave/Bad Vibrations
8. Windowsill
9. The Well & The Lighthouse
10. Cold Wind
11. Neighborhood #3 (Power Out)
12. Rebellion (Lies)
13. Intervention

Encore 1
14. Ocean of Noise
15. Neighborhood #1 (Tunnels)

Encore 2
16. Wake Up